自宅の庭にお墓を建てていいのか?


多くの方が考えていながら、している人がいない、もっといえば、実行できないことです。
たんに法律的に不可だからできていない、ということです。

まず、お墓に関しては、墓埋法という法律があります。
「墓地、埋葬等に関する法律」(昭和23年制定)第4条「埋葬又は焼骨の埋蔵は、墓地以外の区域に、これを行つてはならない。」

もうこれで、一発アウトです。


ただし、ここから抜け道を探すこともできます。
この法律は、墓地以外に、この場合、自宅の庭に「遺骨を埋めてはいけない」という法律です。

ですから、遺骨はなしで、墓石だけを自宅の庭に置くのはオーケーでしょう。
墓石と言っても、そのものは、ただの石なのですから。
しかし、その墓石の下や中に、遺骨を納めるのはアウトです。

さらに、この法律は、「遺骨を埋蔵」してはいけない、という法律です。
そこで、遺骨を埋蔵する代わりに、散骨をするという抜け道です。

遺骨を直径2mm以下に砕き、粉状にして、自宅の庭や墓石の周りにまくのです。
※この際も、遺骨(遺灰)を埋めてはいけません。

この行為、自宅の庭に散骨するということが、違法かどうかというと、今のところ、「違法性はない」とされています。
ただし、白ですけど、グレーがかっていますので、どう転ぶかはわかりません。
つまり、合法性を保障しているわけではありません。

そもそも、自宅の庭に散骨することで、ご近所との摩擦が起こるかもしれません。
もしかしたら、なんらかの慰謝料や損害賠償などの問題が起こるかもしれません。
※精神的苦痛に対する慰謝料や土地家屋の資産価値劣化による損害賠償など。

散骨に関しては、1991年に法務省が、「社会的習俗として宗教的感情などを保護する目的だから、葬送のための祭祀で、節度をもって行われる限り問題はない」 という見解をあらわしました。

自宅の庭でひっそりと散骨して、誰にも、隣近所にも知られない、という状況ならば、散骨が「節度をもって」行われた、と解釈されるでしょう。
しかし、そこにお墓らしきものがある、聞いてみれば散骨をしたとのこと、となれば、これを「節度をもって」行われた、と言えるかどうか?
この辺りの司法判断は、難しいところなのではないのでしょうか。


以上のところが、「自宅の庭にお墓を建てる」ということに関する、個人的な見解です。
ただし、葬儀・葬祭事情は目まぐるしく変化しておりますので、今後どうなるのかはわかりません。

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