戒名が2つ?

ただでさえ高い、高いと言われている戒名の料金。
そんな高い料金の戒名を2つも買うことになることなんてありえない、と油断していると、痛い目にあうかもしれませんよ。


この本(『看取りの後に 葬儀・墓・供養』)のRさんの場合は、ご本人は大阪住まいで、北陸にいらしたお母さまが病気になったことから、大阪で一緒に住むことになりました。
病気は急変し、突然のお母さまの死、そして、例のごとく慌ただしく葬儀が終わり、さて納骨という段になり、問題が発生です。

葬儀は、もちろんお住まいの大阪の葬儀社でした。お坊さんも、その葬儀社で紹介してもらい、三十万円で戒名もつけてもらいました。

四十九日が過ぎ、北陸にある実家のお墓に納骨しようと、菩提寺に連絡したところ、住職が「この度は、大変なことで、こちらで戒名も用意してありますので、供養は滞りなく…」と言ってきたのです。


これは、地方から都市部に出てきた人たちに起こりがちな、いわゆる「二重戒名」ですね。


葬儀は都市部で行いますので、そこでお坊さんを頼みます。
すると、たいていは気を利かして、お坊さんは戒名までつけます。(もちろん、有料で)

都市部にお墓があれば、納骨はなんら問題ないのです。でも、Rさんのように地元に、実家のお墓があると、しかも寺院付のお墓だと、そこで一悶着ある可能性があります。

あまりないことですが、まず、お墓の宗旨と戒名の宗旨が異なる場合は、完全に納骨はできません。
次に、Rさんのように、お墓と戒名の宗旨があっていても、よほどのことがない限り、そこのお寺でつけた戒名でないと、納骨できません。

なぜなら、戒名料は貴重な収入源なのですから!

そのため、納骨先のお寺に戒名をつけてもらうことになります。
ご遺族が、ダダをこねても、「納骨」という人質を取られているので、ご遺族はお寺さんの意向に従うより他ありません。


「自分が何かいけないことをしたのだということはわかりました。菩提寺があるということは、葬儀に他の寺の僧侶を呼んではいけなかったのですね。
なんとも釈然としませんでしたが、反論する根拠ももっていなかったので、言われるままに納骨をすませました。もちろん戒名料も請求されましたし、納骨のためのお布施も支払いました」(P148)

もちろん、理屈としてはお寺さんの言い分が正しいのでしょう。
でも、Rさんも言っているように、その理屈は{釈然としません」。このような、小さな気持ちの積み重ねが、今日の仏教離れを加速させているのかもしれません。


※引用・参照 『看取りの後に 葬儀・墓・供養』
 

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